第14回泉州6地区合同学術講演会
2月16日午前診療後、本年もスターゲイトホテル関西エアポートにて泉州6地区合同学術講演会が開催され、参加して参りました。
「炎症でつながる口腔と全身~糖尿病専門医が語る歯科医療の重要性~」と題され、日本糖尿病学会専門医で医学博士、にしだわたる糖尿病内科院長の西田 亙先生に御講演いただきました。
軽妙な語り口で終始楽しく拝聴させていただきましたが、そこには先生のあふれんばかりの知識に裏打ちされた確かな情熱を感じました。
以前より糖尿病と歯周病は関連性があり、歯周病治療や定期的なメインテナンスを行うと糖尿病の改善がみられることは証明されてきました。歯周病という慢性炎症がインスリンの抵抗性を生んでしまい、正常にインスリンが効果を発揮せずに血糖値を上昇させてしまいます。今回はさらに歯周病菌の1つであるPorphyromonas gingivalisがアルツハイマー病にかかわっているという論文が発表されたこと、既にアメリカのCortexyme社がPorphyromonas gingivalis由来のタンパク分解酵素gingipainを阻害する薬剤を臨床試験段階まで進めているとのこと。つまりアルツハイマー病は歯周病の菌も関連しており、歯周病改善によりそのリスクも軽減できるということです。まだ完全な立証はされていないようですが、歯周病とは静かな炎症であり無痛で出血する場合があります。出血が常日頃から起こるのは本当に怖いことで、体の外の世界と中の世界の隔たりがなくなっているため本来は強い力をもったまま入ってくることは稀な菌やウイルスが歯周病を通じて血管内に侵入します。血管に入れば全身を巡り、臓器に悪影響を及ぼします。妊婦に感染した歯周病菌が羊水にまで達し、胎児の命を奪った事例があります(少しの歯周病であれば問題ないですが、妊娠中はホルモンバランスの乱れにより歯周病が悪化することがあります。また妊婦の抵抗性の減弱(風邪など)でより胎児への影響が考えられます)。
この他にも西田先生の「生まれ変わったら歯科衛生士になりたい」理由や震災や災害時の口腔ケア困難者の肺炎にかかるリスク(またそれによる高齢者の死亡リスク)など、多岐にわたり内科医の枠にとどまらない医科歯科の知識(御自身は世界一の歯科マニアとおっしゃられていました(笑))を講演いただきました。ブログではまとめきれないほどの御教示をいただきました。また先生の御講演に参加させていただきたいと思います。ありがとうございました。