オーラルフレイルとは
あまり聞きなれない言葉ではありますが、近年このオーラルフレイルが歯科業界では盛んに取りざたされています。
オーラルとは口腔または口腔機能を指し、咀嚼・嚥下や会話や呼吸などに使われる筋肉・骨格または神経系全般を意味します。
フレイルとは虚弱、機能低下している状態を示します。医科では(特に欧米)以前からフレイルが人間の健康寿命に大きく関わるため、問題視されています。フレイルには、身体的フレイル、精神的フレイル、社会的フレイルなどがあり、それぞれの口腔に関するものを総じてオーラルフレイルと呼称しています。
主なものとしては、歯がないと食事ができない、食事ができないと栄養摂取がしづらい、栄養摂取が困難であれば病気にかかりやすくなる、といった流れです。これは身体的フレイルの代表格ですが、他にも歯が少ない方は転倒のリスクが高く、骨折→入院→寝たきりという負のルートをたどりやすくなります。また噛むことによって記憶領域も活性化され、認知症予防としても一役かっているとの報告もあります。
また精神的フレイルは、口からものを食べるという動物としての生命活動が困難になり、精神的に落ち込んでしまうことを指します。食べにくいから食べない、決まった軟食ばかりとなると心理面でまいってしまいます。
社会的フレイルは仕事やサークルなどの社会参加をしなくなることを意味します。他のフレイルに比べると、一人でいるだけで問題ないと思われてしまいますが、話すこともなく食べたいものだけを食べ、いつの間にか身体的・精神的フレイルに陥るが周囲は気づかないままで年月が過ぎてしまう。孤独死で何日も発見されないなどにつながる恐れがあります。
現在では医科歯科はもちろん多職種で連携をとり、健康寿命の延伸につとめております。人間の誰しもに死は訪れます。最期のときを迎えるまで、独立独歩で食事・会話ができたら幸せではないかと考えます。