平成30年度第2回学術講演会②
前回に引き続き杉岡真一先生の御講演、ジャンクフードとスポーツドリンクについてです。
ジャンクとは本来ガラクタなどといった意味合いを持ちますが、ジャンクフードとはカロリーばかり高くて栄養のない食べ物を指します。アメリカのドキュメンタリー映画で某社のファストフードのみを3食1か月食べ続けるというものがありました。最初は楽に食べ続けられそうにしていましたが、少しづつ嫌になり、その後は食べないといられない依存する形になりました。しかし栄養バランスの崩壊はもちろんのこと、心にも悪影響を及ぼすとのことです。短気や落ち着きのなさ、協調性のなさも指摘されています。また幼少期の食生活は今後の人生に大きく影響し、回顧的にその味を求めるようになり、重度の肥満や血液検査での様々な異常、肝機能障害等を引き起こします。確かにファストフードやお菓子などは口に入れると噛まずしておいしさを感じます。それは脂肪分と砂糖と旨味調味料が合わさるからとされています。ケーキは別腹…というのは砂糖と脂肪が合わさった食べ物のため、依存性を持ち食欲のかく乱が起こるためです。
次にスポーツドリンクについて。まずスポーツドリンクとは何のために飲むのでしょうか?熱中症対策のためや足りない栄養素を補うため、CMに影響されて、単にスポーツをしているから、など理由は様々です。昨今の自動販売機を見てまわってみたのですが、スポーツドリンクに区分けされるものを欠いている自動販売機はほとんどありませんでした(観光地のお茶しかない自動販売機ぐらいです)。それほど私達の生活に必需品となっています。しかし本当に必需品なのか、というお話でした。
一番多い動機として熱中症対策ですが、基本的に少し汗をかいたくらいではスポーツドリンクも塩分の補給も必要ありません。水分補給で十分です。スポーツや野外での重労働により大量に汗をかいた場合にのみ、水分補給と塩分補給が重要になります。この時に水分のみ大量に摂取すると水中毒(汗により失われたNaが水分のみの摂取によりさらに薄まってしまう、水分摂取はしているため再度汗をかくとさらにNa濃度が下がるため嘔吐や意識喪失、重度では死に至る)になります。ではどうしたらいいのか。
近年販売されている経口補水液が適しており最も適しています。実はスポーツドリンクとされているものはNaもKもそれだけで補うにはかなり多量に飲まなければ熱中症対策にはなりません。経口補水液には500mlで摂取で成人には充分な量のNaやKが補えます。またスポーツドリンクの大きな問題として糖質の過剰摂取も懸念されます。スポーツドリンクは酸性で砂糖、経口補水液はアルカリ性でブドウ糖、この差は虫歯のリスクに大きく差が出ます(経口補水液の中にはクエン酸が多く含まれているものもあり、それは酸性になっている可能性はあります)。
つまり熱中症対策としては、
激しい運動をしていない→水やお茶
汗をかいた→水500mlと塩1.5g
脱水症状→経口補水液を50mlずつゆっくり
がよいようです。
ジャンクフードもスポーツドリンクも砂糖によりおいしく感じてしまいますが、実際は問題点も多いようです。また糖質ゼロやカロリーゼロといった商品も健康志向の流れからよく売れているようですが、糖質の代わりに代用甘味料が使われているものがほとんどです。現在代用甘味料に関しては健康に対する不明な部分も多いため、良し悪しは決定されていません。今後の動向に注目されます。