第48回日本口腔インプラント学会学術大会
9月15日は休診させていただき、9月14・15・16日とグランキューブ大阪国際会議場にて開催されました第48回日本口腔インプラント学会学術大会に出席して参りました。
インプラント専門医の資格は歯科医師免許と違い更新制となっており、大学のように講義を受講し単位取得、また症例報告なども必要となります。今学術大会も単位の対象となっており受講して参りました。
今回の学術大会のメインテーマとなっております「超高齢社会への責任」ですが、言わずもがな現在日本は過去に例を見ない高齢社会であり、他の先進国も日本の国の舵が如何に切られどのような結果をもたらすのか注目されております。現在でも健康長寿推進は進んでおり、もちろんそのことに異議を唱えるわけではありません。ひと昔前は今より若くして寿命を迎えていたもしくは病気の多くを治療できなかった、支援・理解が足りなかった等問題点がありましたが、現在はそれらがクリアされつつあるため結果寿命の延伸に繋がっています。それは喜ばしいことではありますが、人は誰しも年齢を重ね少しずつ確実に身体機能は衰えます。自身の身の回りのことができなくなり、要支援・要介護となる。そうなった時に私達歯科医師の現在までの責任とこれからを検討する研究発表や症例報告、著名な先生方の講演が数多くなされてました。
特に私が印象深かったのは、「インプラントが日本の歯科に浸透し数多く施術されてきました。先生方が埋入したインプラントは通院困難になった後も責任を持って診ていますか?病院・介護の現場をどこまで知っていますか?」という言葉でした。インプラントと言えば人工物だし植えたら一生持つでしょ、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、植えられるのは人間の顎骨です。感染を起こせば腫れたり動いたりと歯周病に似た状態(インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎)になります。もちろんセルフケアやメインテナンスが重要でありますが、そのセルフケアができなければ…メインテナンスのために歯科医院に行くことができなければ…次第に悪化の一途をたどるでしょう。現在介護の現場からも声が上がっており、入れ歯・インプラント・入れ歯を止めるためのインプラント・天然の歯・人工の被せもの…と言い出せばキリのないほど歯科が患者さんに提供するものは多種多様であります。少しづつではありますが介護に携わっていらっしゃる方々とも協力体制がとられていますが、やはり口腔ケアも難しい状態です。そうなる前にインプラントの形態変更や入れ歯への移行などの対策をすることもこれからの未来必要ではないか、植えたら終わりで後は知らないでは済まされない状況である。このような意見も多数ありました。もちろん歯科側が患者さんに一方的に行うわけではありません。よく患者さんと話し合い、植えた当時との年齢・口腔内状況の違いを説明し納得していただいた上での話です。
つまり今後将来を見据え、その時々のライフステージに合った治療が求められます。それはインプラントのみならず歯を残すや抜くといった大昔からされている治療一つとっても言えることだと考えます。